後悔しない不動産査定の始め方|高く売るための比較ポイントと注意点

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「大切な不動産、売るなら後悔したくない」これは誰もが思うことです。しかし、知識がないまま不動産査定を進めると、気づかぬうちに資産価値より低い価格で手放してしまう危険性があります。

この記事では、初めての方でも安心な不動産査定の始め方から、あなたの資産価値を最大化するための「不動産会社の比較ポイント」、そして査定依頼で失敗しないための「具体的な注意点」まで、詳しく解説します。

最後まで読めば、査定に対する漠然とした不安が和らぎ、不動産会社の提示額を鵜呑みにせず、ご自身の力で最適な一社を見極めるための一助となるでしょう。

目次

【基本】後悔しないために知っておくべき不動産査定の全体像

不動産査定を初めて行う方にとって、すべてが手探り状態で不安に感じるのは当然です。まずは査定の基本と全体像を分かりやすく解説します。「そもそも査定って何?」という基本的な疑問から解消し、安心して次へ進むための知識を身につけましょう。

不動産査定とは?売却価格が決まる仕組み

不動産査定とは、「あなたの不動産が、今の市場でおおよそいくらで売れそうか」という売却予想価格を算出することです。重要なのは、これは「売却価格(成約価格)」そのものでも、「不動産会社による買取価格」でもないという点です

査定価格は、不動産のプロが以下のような専門的な方法を組み合わせて算出します。

取引事例比較法
最も一般的な方法で、あなたの物件と条件が近い周辺の物件が「過去にいくらで取引されたか」を基に価格を算出します。

原価法
主に戸建てで使われ、「その建物を今もう一度建てるとしたらいくらかかるか」という再調達価格から、年数の経過による価値の減少(減価償償)を引いて算出します。

収益還元法
投資用マンションなどで使われ、「その物件が将来的にどれくらいの収益(家賃収入など)を生み出すか」という視点から価値を算出します。

不動産会社はこれらの評価方法をベースに、物件の個性(日当たり、眺望、リフォーム履歴など)や市場の動向を加味して、最終的な査定額を提示します。

「机上査定」と「訪問査定」の違いと最適な使い分け方

不動産査定には、大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合わせて使い分けることが重要です。

机上査定(簡易査定)訪問査定(実査定)
概要物件情報(住所、面積、築年数など)と過去のデータのみで査定担当者が実際に物件を訪問し、状態を確認して査定
精度あくまで概算高い
期間即日~3営業日程度依頼から1週間程度
メリット・匿名で気軽に依頼できる
・スピーディーに結果がわかる
・営業電話が少ない傾向
・正確な査定額がわかる
・担当者と直接話せる
・具体的な売却相談ができる
デメリット・査定額の精度が低い
・個別の事情が反映されない
・日程調整など手間がかかる
・立ち会いが必要
おすすめな人・まずは相場だけ知りたい
・まだ売却を決めていない
・しつこい営業を避けたい
・具体的に売却を検討している
・正確な資金計画を立てたい
・複数の会社を比較検討したい

まずは「机上査定」で大まかな相場を把握し、信頼できそうな数社に絞ってから「訪問査定」を依頼するのが、最も効率的で賢い進め方です。

依頼から査定額提示までの基本的な流れと期間の目安

不動産査定を依頼してから結果を受け取るまでの流れは、以下のステップで進みます。

STEP
査定の依頼

不動産一括査定サイトや、不動産会社のウェブサイトから物件情報を入力して依頼します。

STEP
不動産会社からの連絡

依頼後、早ければ数分~翌営業日までに不動産会社からメールや電話で連絡が来ます。訪問査定の場合は、この時に日程を調整します。

STEP
査定の実施
  • 机上査定の場合: 不動産会社がデータに基づいて査定を行い、メールや郵送で結果が送られてきます。(即日~3日程度)
  • 訪問査定の場合: 担当者が現地を訪問し、30分~1時間ほどかけて建物の内外や設備、周辺環境などをチェックします。
STEP
STEP4:査定結果の報告

訪問査定後、3日~1週間程度で査定結果報告書が提示されます。多くの会社は、査定額の根拠や販売戦略について対面またはオンラインで説明してくれます。

【超重要】不動産査定で損を防ぐための不動産会社比較ポイント5選

ここがこの記事で最も重要なポイントです。複数社から不動産査定の結果が出た後、「一番高い査定額の会社に決めれば良い」と考えるのは非常に危険です。価格だけでなく、その根拠や会社の姿勢を多角的に見極めることが、損を防ぐための鍵となります。

比較ポイント① 査定額の「高さ」よりも「明確な根拠」を確認する

提示された査定額に対して、「なぜこの金額になるのですか?」と必ず質問してください。信頼できる担当者は、以下のように明確な根拠を示してくれます。

【良い回答例】

「はい、今回の不動産査定額ですが、直近3ヶ月で近隣の〇〇マンションの類似タイプが〇〇円で成約した事例と、現在売り出し中の物件の動向を基に算出しました。お客様の物件は角部屋で日当たりが非常に良いため、相場より5%ほど高く評価しております。」

【注意が必要な回答例】

「このエリアは人気なので、これくらいで売れますよ」
「弊社の販売力なら、この価格で売却できます」

具体的なデータや事実に基づかない、抽象的な回答しかできない会社は要注意です。高い査定額の裏付けがなければ、それは契約を取りたいだけの「釣り査定」の可能性があります。

比較ポイント② あなたの地域・物件に強い「売却実績」はあるか

不動産会社には、それぞれ得意なエリアや物件種別(マンション、戸建て、土地など)があります。あなたの物件と同じエリアや種類の売却実績が豊富かどうかは、非常に重要な比較ポイントです。

【チェック方法】

  • 会社のウェブサイトを見る
    「売却実績」「お客様の声」などのページで、あなたの地域での取引事例があるか確認しましょう。
  • 担当者に直接聞く
    「このマンション内で、過去に仲介した経験はありますか?」「この地域での年間売却件数は何件くらいですか?」など、具体的に質問してみましょう。

実績豊富な会社は、地域の特性や購買層を熟知しているため、的確な価格設定と販売戦略を期待できます。

比較ポイント③ 「担当者の質と相性」を見極める質問とチェック項目

売却活動は、3ヶ月から半年以上かかることもあり、担当者とは長い付き合いになります。信頼できるパートナーになれるか、以下の項目でチェックしましょう。

  • レスポンスは迅速で丁寧か?
  • 専門用語を使わず、素人にも分かりやすく説明してくれるか?
  • メリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に話してくれるか?
  • あなたの話(売却理由や希望)を親身に聞いてくれるか?
  • 質問に対して、的確な答えが返ってくるか?

どんなに有名な大手企業でも、最終的にあなたと向き合うのは一人の担当者です。「この人になら任せられる」と心から思えるかどうか、ご自身の感覚を大切にしてください。

比較ポイント④ あなたに合った「具体的な販売戦略」を提案してくれるか

良い不動産会社は、「いくらで売れるか」だけでなく「どのように売るか」という具体的な販売戦略を提案してくれます。

【確認すべき質問】

  • 「どのような広告媒体(SUUMO、HOME’S、自社サイト、チラシなど)を使いますか?」
  • 「どのような層(ファミリー、単身者、投資家など)をターゲットに、どうアプローチしますか?」
  • 「物件の魅力を最大限に伝えるために、どのような写真撮影やアピールをしますか?」

複数の会社から販売戦略を聞き、最も納得感のある提案をしてくれた会社を選びましょう。

比較ポイント⑤ 悪質な「囲い込み」をしないクリーンな会社か

「囲い込み」とは、売主から依頼された物件を他の不動産会社に紹介せず、自社だけで買主を見つけようとする悪質な行為です。これをされると、あなたの物件を見る人の数が減り、売却機会の損失や価格の低下に繋がります。

囲い込みを防ぐには、査定時に「レインズ(REINS)」への登録について確認することが有効です。レインズは不動産会社間の情報システムで、ここに登録すれば全国の不動産会社が買主を探してくれます。

「売却を依頼した場合、レインズにはいつ登録していただけますか?」と質問し、誠実に対応してくれる会社を選びましょう。

査定額を最大化!高く売るための不動産査定のコツと準備

不動産査定は、不動産会社任せにするだけではありません。査定前にあなた自身が少し準備をするだけで、査定額が数十万円単位で変わる可能性もあります。ここでは、ご自身でできる簡単なコツをご紹介します。

【査定前日までに】必須書類の準備とアピールポイントの整理術

査定をスムーズに進め、より正確な査定額を出してもらうために、以下の書類を準備しておくと良いでしょう。

必ず用意したい書類

  • 登記済権利証または登記識別情報(所有者本人であることの証明)
  • 固定資産税納税通知書(固定資産税評価額の確認)
  • 間取り図、測量図など

あると良い書類

  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 物件のパンフレット(新築購入時のもの)

また、書類だけでなく物件のアピールポイントをメモにまとめておきましょう。担当者が気づかないような魅力を伝えることで、プラス評価に繋がります。

【アピールポイントの例】

  • リフォーム履歴(いつ、どこを、いくらで)
  • こだわりの設備(床暖房、食洗機、最新の給湯器など)
  • 日当たりや風通しの良さ、窓からの眺望
  • 近隣の生活利便施設(スーパー、公園、学校、駅までの実際の時間など)
  • 管理組合の状況や長期修繕計画(マンションの場合)

【訪問査定当日】担当者の印象を良くする3つの工夫

訪問査定では、担当者に「この物件は大切に扱われているな」「買主にも自信をもって勧められるな」と感じてもらうことが大切です。

1.掃除・整理整頓を徹底する

モデルルームのように完璧にする必要はありませんが、水回りや玄関、リビングなどを清潔にしておくだけで印象は大きく変わります。

2.室内を明るく見せる

査定当日は、すべての部屋の照明をつけ、カーテンを開けて自然光を取り込みましょう。部屋が明るく広く見え、ポジティブな印象を与えます。

3.正直に、誠実に対応する

雨漏りや設備の不具合など、物件のマイナスポイントは隠さずに伝えましょう。事前に伝えることで、査定額への影響を最小限に抑えたり、後の契約トラブルを防いだりすることに繋がります。正直な姿勢は、担当者との信頼関係構築にも不可欠です。

【情報武装】自分で相場を調べる方法と査定額の妥当性チェック

不動産会社から提示された査定額が妥当かどうかを判断するために、自分でも相場を調べてみましょう。以下のサイトは無料で誰でも利用できます。

レインズ・マーケット・インフォメーション
国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営。実際に取引された物件の価格を地域や面積などで検索でき、最も信頼性の高い相場情報源です。

土地総合情報システム
国土交通省が運営。不動産の取引価格情報や地価公示価格を調べることができます。

大手不動産ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME’Sなど)
現在売り出し中の物件価格を調べるのに役立ちます。ただし、これは「売主の希望価格」であり「成約価格」ではない点に注意が必要です。

これらの情報と不動産会社の査定額を照らし合わせることで、より冷静に価格の妥当性を判断できるようになります。

不動産査定のよくある失敗例とトラブル回避のための注意点

ここでは、不動産査定でよくある失敗例と、それを避けるための具体的な注意点を解説します。ユーザーが抱える不安に正面から向き合い、トラブルを未然に防ぐ知識を身につけましょう。

注意点① 契約欲しさの「釣り査定」に騙されない方法

「釣り査定」とは、媒介契約(売却の依頼契約)を取りたいがために、意図的に相場よりも著しく高い査定額を提示する手口です。

【釣り査定を見抜くポイント】

  • 他社と比較して、突出して査定額が高い。
  • 査定額の根拠が曖昧で、具体的なデータを示せない。
  • 「うちならこの価格で売れます」と自信過剰な営業トークを繰り返す。
  • 媒介契約を執拗に迫ってくる。

高い査定額に飛びついて契約したものの、結局売れずに何度も値下げを提案され、最終的に相場より安く売る羽目になるケースも少なくありません。査定額の高さだけでなく、その根拠と信頼性を必ずセットで評価しましょう。

注意点② しつこい営業電話の上手な断り方と対処法

「査定を依頼したら、営業電話が鳴り止まないのでは…」という不安は、多くの方が抱えています。しかし、これは事前に対処が可能です。

  • 査定依頼時に意思を明確に伝える
    一括査定サイトの備考欄などに「まずは情報収集の段階です」「連絡はメールでお願いします」と一言添えるだけで、効果は絶大です。
  • 断る際は、ハッキリと簡潔に
    もし電話がかかってきても、「他社に決めましたので、今後はご連絡いただかなくても結構です。ありがとうございました」とハッキリ伝えれば、ほとんどの営業担当者は引き下がります。曖昧な態度は相手に期待を持たせてしまうため、逆効果です。

注意点③ 媒介契約の種類と選び方|安易に「専任」を選ばない

不動産会社に売却を依頼する際には、「媒介契約」を結びます。これには3種類あり、それぞれに特徴があります。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数の会社に依頼できるできないできない
自分で買主を探すできるできるできない
レインズへの登録任意義務(7日以内)義務(5日以内)
売主への報告義務なし義務(2週間に1回以上)義務(1週間に1回以上)

営業担当者は、自社で確実に仲介手数料を得られる「専任媒介」や「専属専任媒介」を勧めてくることが多いです。しかし、1社に縛られるリスクもあります。

「まだどの会社に任せるか決めきれない」「複数の会社に販売活動を競ってほしい」という場合は、まずは複数の会社と結べる「一般媒介契約」からスタートするのも賢い選択です。

【結論】賢い不動産査定なら一括査定サイトの活用がおすすめ

ここまで解説してきた「損を防ぐための比較」や「高く売るためのコツ」を最も効率的に実践できるのが、不動産一括査定サイトの活用です。

なぜ不動産一括査定サイトを使うべきか?メリット・デメリットを解説

1社1社に連絡して査定を依頼するのは、大変な手間と時間がかかります。一括査定サイトなら、一度の入力で複数の会社にまとめて査定を依頼できます。

メリット
  • 手間と時間を大幅に削減できる
  • 複数の査定額を簡単に比較できる
  • 不動産会社間に競争原理が働き、より良い条件を引き出しやすい
デメリット
  • 複数社から一斉に連絡が来ることがある
    →対策:備考欄に「連絡はメール希望」と記載する、電話が来ても「他社と比較検討中です」と明確に伝える。

デメリットはありますが、それを上回る大きなメリットがあり、後悔しない不動産売却の第一歩としては最適なツールと言えるでしょう。

信頼できる一括査定サイトを選ぶための3つのポイント

  • 提携不動産会社数が多いか
    提携社数が多ければ、あなたの物件に強い会社が見つかる可能性が高まります。
  • 運営会社の実績と信頼性
    上場企業や、NTTデータグループのような大手企業が運営するサイトは、個人情報の管理や悪質業者の排除といった点で安心感が高いです。
  • 利用者の口コミや評判が良いか
    実際に利用した人の声を参考にすることで、サイトの使い勝手やサポート体制を把握できます。

【2025年版】おすすめの大手一括査定サイト3選(特徴を比較)

上記のポイントを踏まえ、利用者数が多く信頼性の高い代表的なサイトを3つご紹介します。

イエウール
【特徴】
提携社数2,000社以上と業界トップクラス。地方の不動産会社もカバーしており、幅広いエリアに対応しているのが強みです。

SUUMO(スーモ)売却査定
【特徴】
知名度No.1。大手から地元密着の不動産会社までバランス良く提携。売却だけでなく賃貸も同時に査定できるのがユニークです。

HOME4U(ホームフォーユー)
【特徴】
NTTデータグループが運営する、日本初の一括査定サイト。20年以上の運営実績と厳選された優良企業との提携で、信頼性は抜群です。

まとめ

今回は、後悔しないための不動産査定の始め方から、具体的な比較ポイント、注意点までを網羅的に解説しました。

最後に、最も重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 不動産査定は必ず複数社に依頼し、比較検討することが鉄則。
  • 査定額の「高さ」だけで選ばず、「明確な根拠」や「担当者の質」、「販売戦略」を多角的に見極める。
  • 査定前に自分で準備や相場調査をすることで、より有利に交渉を進められる。
  • 「釣り査定」や「囲い込み」といったリスクを理解し、回避策を知っておく。
  • 効率的に比較検討するなら、信頼できる「一括査定サイト」の活用が最も賢い選択。

不動産査定は、売却の成否を左右する非常に重要なプロセスです。しかし、それはゴールではありません。あなたの資産価値を正しく知り、信頼できるパートナーを見つけるための「最高のスタートライン」です

この記事が、あなたの不安を解消し、納得のいく不動産売却への力強い第一歩となることを心から願っています。

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