専任媒介契約とは?一般/専属専任との違いをわかりやすく解説

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「不動産を売りたいけど、『専任媒介契約』って一体何だろう…?」「一般媒介契約や専属専任媒介契約と比べて、どれが自分に合っているの?」初めての不動産売却では、そんな疑問や不安がつきものですよね。

この記事では、不動産売却の成功を左右する重要なステップである「媒介契約」の種類、特に「専任媒介契約」に焦点を当て、一般媒介契約や専属専任媒介契約との具体的な違い、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく徹底比較します。

この記事を読めば、各契約形態の特徴が明確になり、不動産会社に言われるがまま契約してしまうといった不安も解消。ご自身の状況や希望に最適な契約形態を主体的に選ぶ知識が身につきます。読み終える頃には、自信を持って不動産会社と話し合い、納得のいく不動産売却活動をスタートできるでしょう。

目次

そもそも不動産売却の「媒介契約」とは?専任媒介契約の位置づけ

不動産の売却を考え始めたとき、多くの方が不動産会社に相談するのではないでしょうか。その際に必ず登場するのが「媒介契約(ばいかいけいやく)」という言葉です。まずは、この媒介契約がなぜ必要なのか、そしてこの記事のテーマである「専任媒介契約」がどのような位置づけになるのかを理解しましょう。

なぜ不動産売却に媒介契約が必要なの?

大切な不動産を売却するのに、なぜ不動産会社と契約を結ぶ必要があるのでしょうか。主な理由として「個人間取引の難しさ」と「不動産会社の専門性の活用」が挙げられます。

個人間取引の難しさ

個人で買主を見つけ、価格交渉をし、複雑な契約手続きや引き渡しまで全てを行うのは非常に困難です。不動産取引には、民法、宅地建物取引業法、建築基準法など多くの法律が関わってきますし、高額な取引であるがゆえにトラブルが発生した場合のリスクも大きくなります。専門知識がないまま個人で進めようとすると、思わぬ不利益を被る可能性も否定できません。

不動産会社の専門知識とネットワークの活用

不動産会社は、不動産取引のプロフェッショナルです。最新の市場動向を把握し、適正な売却価格を査定する能力、効果的な販売活動を行うノウハウ、そして何より広範な買主様の情報ネットワークを持っています。 媒介契約を締結することで、売主様はこれらの専門知識や販売力を活用でき、より安全かつ有利に、そしてスムーズに売却活動を進めることが期待できるのです。いわば、不動産会社は売主様の代理人として、売却成功に向けて伴走してくれるパートナーと言えるでしょう。

媒介契約は全部で3種類!それぞれの簡単な特徴

不動産会社に売却を依頼する際の媒介契約には、主に以下の3つの種類があります。それぞれに特徴があり、売主様の状況や希望によって最適なものが異なります。

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)

特定の1社にのみ売却活動を依頼する契約形態です。不動産会社は売主に対して定期的な業務報告の義務があり、売主自身が買主を見つけること(自己発見取引)も認められています。この記事で中心的に解説する契約です。

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)

複数の不動産会社に同時に売却活動を依頼できる契約形態です。不動産会社からの業務報告義務はなく、売主自身による自己発見取引も可能です。窓口が広がる可能性がある一方、不動産会社の積極性がやや薄れる可能性も指摘されます。

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)

こちらも特定の1社にのみ売却活動を依頼する契約形態ですが、専任媒介契約よりも不動産会社の義務が重く、例えば業務報告の頻度が高くなります。大きな違いとして、売主自身が買主を見つけても、必ずその不動産会社を通して契約しなければなりません(自己発見取引が実質的に制限される)。

これらの契約形態は、宅地建物取引業法という法律でルールが定められており、売主様が不利にならないように保護されています。

この記事で特に詳しく解説する「専任媒介契約」とは

前述の通り、媒介契約には3つの種類がありますが、この記事ではその中でも「専任媒介契約」に焦点を当てて詳しく解説していきます。専任媒介契約は、1社に絞って売却を任せることで、不動産会社の手厚いサポートを受けつつ、自分でも買主を探せる柔軟性も持ち合わせているバランスの取れた契約形態と言えます。しかし、そのメリットを最大限に活かすためには、他の契約形態との違いや、契約時の注意点をしっかりと理解しておくことが不可欠です。

次の章からは、これらの媒介契約の違いをより具体的に比較し、専任媒介契約のメリット・デメリット、そしてどのような方に専任媒介契約が向いているのかを明らかにしていきます。

【徹底比較】専任媒介契約・一般媒介契約・専属専任媒介契約の7つの違い

「専任媒介契約」がどのようなものか、大まかなイメージは掴んでいただけたでしょうか。しかし、実際にどの媒介契約を選ぶべきか判断するためには、それぞれの違いをより明確に理解することが重要です。ここでは、専任媒介契約、一般媒介契約、専属専任媒介契約の主な7つの違いについて、具体的に見ていきましょう。

違い(1) 契約できる不動産会社の数

まず最も基本的な違いは、売却活動を依頼できる不動産会社の数です。

専任媒介契約『1社のみ』
売却の依頼は、1社の不動産会社に限定されます。他の不動産会社に重ねて依頼することはできません。

一般媒介契約『複数社可能』
複数の不動産会社に同時に売却を依頼することができます。例えば、A社、B社、C社というように、何社に依頼しても問題ありません。

専属専任媒介契約『1社のみ』
専任媒介契約と同様に、依頼できるのは1社の不動産会社のみです。

1社に絞るか、複数に依頼するかは、売却戦略に大きく影響します。専任媒介契約や専属専任媒介契約は、1社と深く連携して売却を進めるスタイルと言えるでしょう。

違い(2) 自分で買主を見つけること(自己発見取引)の可否

売主自身が、知人や親戚など、不動産会社を介さずに買主を見つけてくることを「自己発見取引」と言います。この自己発見取引が認められるかどうかも、契約の種類によって異なります。

専任媒介契約『可能』
売主が自分で買主を見つけてきた場合、不動産会社を通さずに直接契約することができます。ただし、契約内容によっては、不動産会社に事前に通知する義務などが定められている場合があるので確認が必要です。

一般媒介契約『可能』
こちらも自己発見取引は可能です。

専属専任媒介契約『不可』
売主が自分で買主を見つけた場合でも、必ず依頼した不動産会社を介して取引を行わなければなりません。不動産会社の仲介手数料も発生します。この点が専任媒介契約との大きな違いの一つです。

「もしかしたら自分で買主を見つけられるかもしれない」とお考えの方にとって、この自己発見取引の可否は重要な判断材料となるでしょう。

違い(3) 不動産流通機構(レインズ)への登録義

「レインズ(REINS)」とは、Real Estate Information Network Systemの略で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです。全国の不動産会社が物件情報を共有しており、ここに登録することで、より多くの不動産会社や購入希望者の目に触れる機会が増えます。

専任媒介契約『義務あり(契約締結の翌日から7日以内)』
媒介契約を締結した不動産会社は、物件情報をレインズに登録する義務があります。登録期限は、契約を結んだ日の翌日から起算して7日以内(休業日を除く)と定められています。

一般媒介契約『任意(登録する場合の期限はなし)』
レインズへの登録は任意であり、義務ではありません。売主の希望や不動産会社の判断によります。登録する場合でも、期限の定めはありません。

専属専任媒介契約『義務あり(契約締結の翌日から5日以内)』
こちらもレインズへの登録義務があり、専任媒介契約よりも早く、契約締結の翌日から起算して5日以内(休業日を除く)に登録しなければなりません。

レインズへの登録は、物件情報を広く公開し、早期売却の可能性を高めるために重要な要素です。専任媒介契約や専属専任媒介契約では、この登録が義務付けられているため、より積極的な情報公開が期待できます。

違い(4) 売主への業務処理状況の報告義務

不動産会社がどのような販売活動を行っているのか、問い合わせ状況はどうなっているのかなど、売主に対して業務の進捗状況を報告する義務も契約によって異なります。

専任媒介契約『義務あり(2週間に1回以上)』
不動産会社は、売主に対して、2週間に1回以上の頻度で、販売活動の状況を文書または電子メールで報告する義務があります。

一般媒介契約『義務なし(法令上)』
法令上の報告義務はありません。ただし、不動産会社によっては自主的に報告を行う場合もあります。

専属専任媒介契約『義務あり(1週間に1回以上)』
専任媒介契約よりも報告頻度が高く、1週間に1回以上の報告が義務付けられています。こちらも文書または電子メールで行われます。

定期的な報告は、売主が売却活動の状況を把握し、不動産会社とコミュニケーションを取りながら進めていく上で非常に重要です。専任媒介契約では、この報告義務があるため、安心して任せやすい側面があります。

違い(5) 契約の有効期間

媒介契約には有効期間が定められています。

3種類すべて『3ヶ月以内(更新も可能)』
専任媒介契約、一般媒介契約、専属専任媒介契約のいずれも、契約の有効期間は最長で3ヶ月と宅地建物取引業法で定められています。これより長い期間を設定することはできません。 3ヶ月を過ぎても売却に至らなかった場合は、売主と不動産会社双方の合意があれば契約を更新することができます。更新後の期間も同様に3ヶ月が上限となります

この期間設定は、不動産会社に長期間物件を拘束されることなく、定期的に活動状況を見直す機会を売主に与えるためのものです。

違い(6) 指定流通機構への登録内容(少し専門的だが簡単に)

うな条件で登録するかも若干の違いがあります。

一般的に、専任媒介契約や専属専任媒介契約でレインズに登録される物件は、他の不動産会社からの問い合わせや買主紹介を積極的に受け付ける「開かれた情報」として扱われます。これにより、契約した1社だけでなく、他の多くの不動産会社も買主を見つけるための情報源として活用できるため、より広範な買主層へのアプローチが期待できます。 一方、一般媒介契約でレインズに登録する場合、不動産会社によっては、他社からの介入をあまり好まない形で情報をコントロールすることもないとは言えません。

少し専門的な内容になりますが、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、レインズの仕組みを最大限に活用して売却活動を行うことを前提とした制度設計になっていると理解しておくと良いでしょう。

【一覧表で再確認】各契約形態の主な違いまとめ

ここまで解説してきた主な違いを一覧表にまとめました。改めて比較して、それぞれの特徴を整理してみましょう。

比較項目専任媒介契約一般媒介契約専属専任媒介契約
契約できる業者数1社のみ複数社可能1社のみ
自己発見取引可能可能不可
レインズへの登録義務あり (7日以内)任意あり (5日以内)
売主への報告義務あり (2週間に1回以上)なし(法令上)あり (1週間に1回以上)
契約の有効期間3ヶ月以内3ヶ月以内3ヶ月以内

※日数は「契約締結の翌日から起算して休業日を除く」

このように、一口に媒介契約と言っても、その内容は大きく異なります。次の章では、これらの違いを踏まえ、専任媒介契約のメリット・デメリット、そしてどのような方に専任媒介契約が向いているのかを詳しく見ていきます。

専任媒介契約を選ぶメリット・デメリットと本当に向いている人

ここまで、専任媒介契約と他の媒介契約(一般媒介契約、専属専任媒介契約)との違いを詳しく見てきました。これらの違いを理解した上で、専任媒介契約を選ぶことにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。そして、どのような人が専任媒介契約に向いていると言えるのでしょうか。

専任媒介契約の主なメリット3つ

専任媒介契約には、売主にとって以下のような魅力的なメリットがあります。

メリット1『不動産会社が積極的に販売活動してくれる可能性が高い』

専任媒介契約は1社にしか売却を依頼できないため、契約を獲得した不動産会社にとっては「自社で成約させれば確実に仲介手数料を得られる」というインセンティブが働きます。そのため、広告費用をかけたり、積極的に買主を探したりと、熱心に販売活動を行ってくれる可能性が高まります。他の不動産会社に先を越される心配がないため、腰を据えて物件の魅力を最大限に引き出す戦略を練りやすいとも言えます。

メリット2『窓口が一本化されるため、売主の手間が少ない』

複数の不動産会社と契約する一般媒介契約の場合、各社との連絡やスケジュール調整、内覧の対応などが煩雑になりがちです。一方、専任媒介契約であれば、売却に関するやり取りは全て契約した1社と行うため、窓口が一本化され、売主の負担や手間を大幅に軽減できます。特に、お仕事で忙しい方や、不動産売却にあまり時間を割けない方にとっては大きなメリットとなるでしょう。

メリット3『定期的な報告で販売状況を把握しやすい』

前述の通り、専任媒介契約では、不動産会社に2週間に1回以上の業務報告義務があります。これにより、どのような販売活動が行われているのか、問い合わせはどの程度あるのか、市場の反応はどうなのかといった情報を定期的に受け取ることができます。売却活動の進捗状況が「見える化」されるため、売主は安心して任せることができ、必要に応じて不動産会社と今後の対策を協議することも容易になります。

専任媒介契約の主なデメリット・注意点3つ

一方で、専任媒介契約には以下のようなデメリットや注意点も存在します。これらを理解しておくことも、後悔のない契約選択のためには不可欠です。

デメリット1『1社にしか依頼できないため、その会社の力量に左右される』

専任媒介契約の最大のデメリットは、良くも悪くも契約した1社の販売力や担当者の能力に売却の成否が大きく左右される点です。もし、その不動産会社の販売力が低かったり、担当者との相性が悪かったりした場合、なかなか売却が進まないという事態に陥る可能性があります。他の不動産会社に依頼したくても、契約期間中は原則としてできません。

デメリット2『不動産会社による「囲い込み」のリスクがゼロではない』

「囲い込み」とは、不動産会社が売主と買主の双方から仲介手数料を得る「両手仲介」を狙うために、他の不動産会社からの買主紹介を断ったり、物件情報を意図的に制限したりする行為のことです。専任媒介契約は1社独占となるため、悪質な不動産会社の場合、このような囲い込みが行われるリスクが一般媒介契約に比べて高まる可能性が指摘されています。ただし、レインズへの登録義務や業務報告義務が、このリスクを抑制する役割も果たしています。

デメリット3『他の不動産会社からの情報や提案を得られない』

1社に限定するため、他の不動産会社が持つ独自の顧客情報や、異なる視点からの売却提案などに触れる機会が失われます。もしかしたら、契約しなかった別の会社の方が、より良い条件の買主を見つけてくれたり、より効果的な販売戦略を持っていたりする可能性も否定できません。

これらのデメリットを最小限に抑えるためには、専任媒介契約を締結する不動産会社を慎重に選ぶことが何よりも重要になります。

あなたはどっち?専任媒介契約がおすすめな人の特徴

専任媒介契約のメリットとデメリットを踏まえると、以下のような特徴を持つ方に専任媒介契約はおすすめと言えるでしょう。

初めて不動産を売却する人
売却活動の進め方や不動産会社とのやり取りに慣れていない初心者の方にとって、窓口が一本化され、定期的な報告を受けられる専任媒介契約は、安心して売却を進めやすい契約形態です。

信頼できる不動産会社や担当者を見つけられた人
査定価格の根拠が明確で、販売戦略にも納得でき、何よりも「この会社(担当者)なら任せられる」と心から思えるパートナーを見つけられた場合は、専任媒介契約でその会社に集中的に活動してもらうのが効果的です。

販売活動の窓口を一本化して手間を省きたい人
複数の不動産会社とのやり取りに時間を取られたくない、スムーズかつ効率的に売却を進めたいと考える方には、専任媒介契約が適しています。

ある程度スピーディーな売却を目指したい人
不動産会社が積極的に販売活動を行うインセンティブが働きやすいため、早期の売却を期待する場合には有効な選択肢の一つです。

逆に、専任媒介契約があまり向いていないかもしれない人の特徴

一方で、以下のような考えや状況の方には、専任媒介契約以外の契約形態(例えば一般媒介契約)の方が合っている可能性があります。

複数の不動産会社に競争させたい人
各社の販売力を比較しながら、より良い条件を引き出したいと考える方は、一般媒介契約で複数の会社に依頼することを検討すると良いでしょう。

自分で積極的に買主を探したい意欲が非常に強い人(一般媒介も検討)
専任媒介契約でも自己発見取引は可能ですが、不動産会社に遠慮なく、より自由に自分で買主を探したいと考える場合は、一般媒介契約の方が精神的な制約が少ないかもしれません。

できるだけ多くの人の目に触れる機会を最大化したい人気物件の売主
誰もが欲しがるような好条件の人気物件の場合、複数の不動産会社がそれぞれ持つ独自の顧客ネットワークにアプローチできる一般媒介契約の方が、より高値での早期売却に繋がる可能性もあります。ただし、専任媒介契約でもレインズを通じて情報は広く共有されます。

ご自身の性格や売却したい物件の特性、不動産会社との信頼関係などを総合的に考慮して、最適な契約形態を選ぶことが大切です。

後悔しない!専任媒介契約を結ぶ際の重要チェックポイントと注意点

専任媒介契約が自分に合っているかもしれないと感じたら、次は実際に契約を結ぶ際の具体的なステップや注意点について理解を深めましょう。後悔のない専任媒介契約のためには、信頼できる不動産会社の選定から、契約内容の確認、そして契約期間中の心得まで、押さえておくべき重要なポイントがいくつかあります。

信頼できる不動産会社の選び方(専任媒介契約だからこそ重要)

専任媒介契約は、1社に売却の命運を託す契約です。そのため、どの不動産会社を選ぶかが極めて重要になります。以下のような点をチェックして、信頼できるパートナーを見極めましょう。

査定価格の根拠をしっかり説明してくれるか

提示された査定価格が高いか安いかだけでなく、その価格に至った根拠(周辺の類似物件の成約事例、市場動向、物件の評価ポイントなど)を、データに基づいて分かりやすく説明してくれるかを確認しましょう。根拠の曖昧な高額査定には注意が必要です。

販売戦略を具体的に提示してくれる

物件の特性に合わせて、どのような広告媒体を使い、どのようなターゲット層に、どのようにアピールしていくのか、具体的な販売戦略を提示してくれるかを見極めます。「頑張ります」といった精神論だけでなく、論理的で実現可能な計画を示してくれる会社を選びましょう

担当者との相性や実績

売却活動は担当者と二人三脚で進めることになります。親身に相談に乗ってくれるか、質問に対して誠実に答えてくれるかなど、コミュニケーションの取りやすさ(相性)も大切です。また、担当者やその会社が、売却したい物件のエリアや種類(マンション、戸建て、土地など)で十分な売却実績を持っているかも確認しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの提案内容や担当者の対応を比較検討する「相見積もり」は、信頼できる会社を選ぶ上で非常に有効な手段です

専任媒介契約書のココを確認!契約前に押さえるべき項目

不動産会社が決まったら、いよいよ専任媒介契約を締結します。契約書には専門用語も多く難解に感じるかもしれませんが、以下の項目は必ずご自身の目で確認し、不明な点は遠慮なく質問しましょう。

契約期間と更新の条件

契約期間が3ヶ月以内になっているか、また、更新する場合の手続きや条件(自動更新ではないかなど)を確認します。

業務報告の内容と頻度(口頭か書面かなども)

法律では2週間に1回以上の報告が義務付けられていますが、具体的にどのような内容を、どのような方法(書面、メールなど)で報告してくれるのかを確認しましょう。

レインズへの登録証明書の交付について

レインズに登録された際には、その登録を証明する書面が発行されます。この登録証明書をいつ、どのように受け取れるのかを確認しておきましょう。これにより、きちんと登録されているかを確認できます。

仲介手数料の金額と支払い時期

仲介手数料は成功報酬であり、売買契約が成立した場合に発生します。その上限額は法律で定められています(売買価格が400万円超の場合:売買価格の3% + 6万円 + 消費税)。契約書に記載されている金額がこの上限を超えていないか、また、支払うタイミング(例:売買契約時に半金、引き渡し時に残金など)も確認が必要です。

契約解除(解約)の条件と違約金について

やむを得ない事情で契約期間の途中で専任媒介契約を解除したい場合、どのような手続きが必要か、また、違約金が発生するケース(例:不動産会社に落ち度がないのに一方的に解約し、その不動産会社の紹介でない相手と契約した場合など)とその金額について、事前にしっかりと確認しておくことがトラブル回避のために重要です。

契約書は、後々のトラブルを防ぐための重要な取り決めです。疑問点を残したまま署名・捺印することのないようにしましょう。

専任媒介契約期間中の売主の心得と不動産会社との付き合い方

専任媒介契約を締結した後も、売主として心得ておくべきこと、不動産会社と良好な関係を築き、スムーズな売却につなげるためのポイントがあります。

報告を鵜呑みにせず、疑問点は質問する

定期的な業務報告は重要ですが、内容を鵜呑みにするのではなく、分からないことや気になる点があれば積極的に質問しましょう。例えば、「広告の反響が少ないようですが、何か対策は考えていますか?」など、具体的な問いかけは不動産会社にとっても活動を見直すきっかけになります。

内覧の協力体制

購入希望者からの内覧希望が入った際には、できる限り協力的な姿勢で対応しましょう。室内の清掃や整理整頓はもちろん、可能な範囲で日程調整に応じることで、売却のチャンスを逃さないようにします。

売れない場合の対策を一緒に考える姿勢

期待通りに売却が進まない場合でも、不動産会社任せにするのではなく、価格の見直しや販売方法の変更など、今後の対策を不動産会社と一緒に考えていく姿勢が大切です。建設的なコミュニケーションが、状況を好転させる鍵となります。

不動産会社は売却のパートナーです。信頼関係を築き、二人三脚で売却成功を目指しましょう。

もし専任媒介契約で売れない…契約更新か解除か、その判断基準

一生懸命活動しても、残念ながら専任媒介契約の期間内(通常3ヶ月)に売却に至らないケースもあります。その場合、契約を更新するのか、それとも解除して別の不動産会社を探すのか、あるいは別の売却方法を検討するのか、難しい判断を迫られることになります。以下の点を考慮して、慎重に判断しましょう。

不動産会社の活動状況

この3ヶ月間、不動産会社は約束通りに販売活動を行ってくれたか、報告義務はきちんと果たされたか、問い合わせや内覧への対応は適切だったかなどを冷静に評価します。誠実な活動が見られない場合は、更新せずに他の会社を検討するのも一つの手です。

市場の動向

物件の価格帯やエリアの市場環境が、売却活動開始時と比べて変化していないか確認しましょう。市場全体が冷え込んでいる場合は、どの不動産会社に依頼しても早期売却が難しいこともあります。

売却価格の見直し

不動産会社から、現在の市場状況を踏まえた価格見直しの提案があった場合は、その根拠をよく聞き、検討する必要があるかもしれません。価格が周辺相場と比べて高すぎることが、売れない原因である可能性も考えられます。

安易に契約を更新し続けるのではなく、定期的に立ち止まって状況を分析し、最善の策を講じることが重要です。場合によっては、買取専門の不動産会社に相談するなど、売却戦略の転換も視野に入れると良いでしょう。

まとめ『自分に最適な媒介契約を選び、納得のいく不動産売却を実現しよう』

この記事では、「専任媒介契約」とは何か、そして一般媒介契約や専属専任媒介契約と何が違うのか、それぞれのメリット・デメリット、選び方のポイントや契約時の注意点について詳しく解説してきました。

改めてポイントを整理すると、

  • 専任媒介契約は、1社の不動産会社に売却を任せる契約形態で、不動産会社の積極的な活動が期待できる一方、その会社の力量に左右される側面も持ちます。
  • 一般媒介契約は複数社に依頼できる自由度の高さが魅力ですが、不動産会社の注力度が分散する可能性も考慮が必要です。
  • 専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりもさらに不動産会社との連携を密にする契約ですが、自己発見取引ができないなどの制約もあります。

どの媒介契約が「絶対に正しい」ということはありません。大切なのは、ご自身の不動産売却に対する考え方(スピード重視か、価格重視か、手間をかけたくないかなど)、物件の特性、そして何よりも信頼できる不動産会社を見つけられるかどうか、といった要素を総合的に考慮して、ご自身にとって最適な契約形態を選ぶことです

不動産売却は、人生における大きなイベントの一つです。この記事で得た知識が、あなたが媒介契約について理解を深め、不安を解消し、信頼できる不動産パートナーと共に、納得のいく不動産売却を実現するための一助となれば幸いです。

まずは、いくつかの不動産会社に査定を依頼し、担当者と直接話をして、ご自身に合ったパートナー探しから始めてみてはいかがでしょうか。あなたの不動産売却が成功することを心から願っています。

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